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『ココア共和国2022年10月号』佳作掲載と感想

 拙作「正しくはカメムシ目・ヨコバイ亜目・セミ上科の胸部」が、詩誌『ココア共和国2022年10月号』●投稿詩佳作集Ⅰに掲載されました。佳作集は電子版のみの掲載です。 ココア共和国|あきは詩書工房|月刊「ココア共和国」10月号 「とにかくみんなで詩を楽しもうよ」ということが目的のB6版の月刊詩誌、10月号が発売です。電子版は384ページになり、より www.youyour.me 近所を散歩している時に思いついた詩です。 よろしければご観賞ください。 今月も、佳作集投稿詩の作品についての感想です。 同都道府県在住の方々の詩を対象としてみました。 藤田健吾「水になりたかった朝」 不定形であることが定形のイメージである水のように、世界のイメージを捉えた詩ですね。水を通してものを見たら、光の屈折や水そのものの揺らぎによってものが歪んで見えるように、むしろ水そのものとして世界の歪んだイメージに没入していく感覚でしょうか。「方丈記」に「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という文がありますが、流れていった水たちは、この詩のように「何であるか」も変わっていってしまっているのかも。あるいはその変化は、詩の中でしか追いかけられないのではないか、という気もしてきます。余談ですが、詩中に「半永久的にむきだした安息角」というフレーズがありまして、「安息角」という言葉を調べてみたらば「(たとえば斜面の土砂などが)滑り出さない限界の角度」のことらしいです。こういう知らない言葉や言葉の使い方に出会えるのも詩の醍醐味のひとつですね。 sion「不可逆の環」 J・S・ミルは「自分は今幸福かと自分の胸に問うて見れば、とたんに幸福ではなくなってしまう。」と言いましたが、この詩でも幸福の形こそが個人を疎外している感覚を覚えることができます。「烙印」という言葉が出てきたのでスティグマ論を思い出しましたが、まさに烙印という傷は不可逆的かつ不可分的に存在に刻まれる傷です。罪人や奴隷であるという「しるし」は、それが焼き入れられたあとも、他者からのまなざしによって継続する痛みの在処なのでしょう。個人的に思ったのが、幸福のイメージに対して幸福の壊れたイメージを持ち出しても、それは幸福のイメージを壊したことにはならない、ということです。「壊れたイメージ」というイメージの形を再生...

『ココア共和国2022年9月号』佳作掲載と感想

拙作「ここからここまでが」が、詩誌『ココア共和国2022年9月号』投稿詩佳作集Ⅰに掲載されました。佳作集は電子版のみの掲載です。 ココア共和国|あきは詩書工房|月刊「ココア共和国」9月号 「とにかくみんなで詩を楽しもうよ」ということが目的のB6版の月刊詩誌、9月号が発売です。電子版は368ページになり、より多 www.youyour.me 平明な言葉に、日々ふと感じるような不条理感を込めてみました。 よろしければご観賞ください。 ここからは、佳作集投稿詩の作品についての感想です。 同年生の方々の詩を対象としてみました。 沢井港一「映画的未来世紀をアップデートする」 フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(あるいは映画なら『ブレードランナー』?)を意識して書かれた詩のようです。 ハッピーエンドもバッドエンドも、それらが対立項であるかぎりはおよそ等価のように思えますが(いずれにしろ「エンド」であるならば)、詩人の「アップデート」の方向性がハッピーエンドやバッドエンドをも乗り越えていくことを、未来的に期待してみたいところです。 現代詩ジェントルマン「世間」 「僕は雄叫びをあげながら コンテクストの裏側に回り込む」というフレーズが面白いです。結局の所、詩でもなんでも、望むと望まざるとに関わらず、何らかの文脈によって判断されるのが世の常です。つまり、「書いていないこと」によって「書かれたもの」が位置づけられるわけです。世の作家の方々は、それを意識しつつ世に作品を産み落としているのでしょうが、やはりどこか不条理感は否めません。詩中に<>や()でくくられた言葉も、それらをコンテクストから隔離すべく配置されているのかも知れないですね。 酉果らどん「ぼくの両親はテレビジョン」 「街を歩く人間たちは 徐々にニセモノにすり替わり 知らないうちにロボットに」という箇所で、諸星大二郎の『夢みる機械』を思い出しました。それはさておき、同号の傑作集でも笠原メイ氏の「テレビジョン」という詩がありまして、まぁ何だか身近な大人たちはテレビに対してアレコレ取り留めもない文句を楽しそうに言い続けるものだなぁ、直接的に社会の課題をどうにかしようという気もなさそうなのになぁ、と常々感じていた私は、「両親はテレビジョン」(酉果らどん氏)や「父親はテレビが宗教だった」(笠原メイ氏)などの...

【青空文庫】アクセスランキング・ジャンル別分析(XHTML版_2021年)

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  前書き 著作権の消滅した作品などを閲覧できる 青空文庫 では、公開作品ファイルへの アクセスランキング を、上位500位まで掲載している。 今回はこのランキング表をもとに、 ランキング内作品のジャンル別割合 を集計、分析してみた。 「青空文庫で人気のジャンルは何なのか?」 「このジャンル内で、最も人気の作品は何なのか?」 という素朴な疑問に、数値データで回答することを目的としている。 普段は読まないジャンルの人気作品を知る機会になるだろう。 読者にとって、新しい読書や考察へのきっかけとなれば幸いである。 前提条件 ※今回は前提条件が長いので、結果のみ知りたい方は、適宜目次などからジャンプしていただければと思う。 1. 対象はXHTML版ランキング( 2021年通年 ) ランキング外の作品や、テキスト版( 2021年通年 )は対象外。 2. 「ジャンル」=「 NDC分類 の 第3次区分 の名称」に準じる ※NDC分類については下記引用、及び引用元のページを参照のこと。 日本十進分類法(にほんじっしんぶんるいほう[1]、Nippon Decimal Classification[1]; NDC[1])は、日本の図書館で広く使われている図書分類法である。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 各作品の分類番号は下記の作品データ欄に記載されている(例)。 走れメロスの図書カード より 上記の「NDC 913」の場合は、ジャンルは「小説、物語」となる。 ※厳密には「(日本文学の)小説、物語」や「(英米文学の)小説、物語」などで割り当てられている番号は異なるが、今回は原書の言語ではジャンルを区別せずに集計している。 3. 一つの作品に複数のジャンルがある場合は個別のジャンル数に加算 下記のように、1つの作品に複数の分類が付けられている場合がある。 〔雨ニモマケズ〕の図書カード より 上記〔雨ニモマケズ〕は「NDC 911」 の「詩歌」に分類されると同時に、「NDC 916」の「記録、手記、ルポルタージュ」にも分類される。 このような場合には、それぞれのジャンル数に加算をして集計している。 ※〔雨ニモマケズ〕の一作品で、ジャンル「詩歌」と「記録、手記、ルポルタージュ」の計2カウントとなる。 4. ジャンルとしての「児童書」はカウントしない 下...