キーボードから生まれているのではありません
キーボードから生まれているのではありません
タイピングから生まれているのではありません
指から生まれているわけでも
筋肉から生まれているわけでも
脳の電気信号からでも
ましてや心からでも
ありません
わたしは
生まれていない
わたしは
つど
起こされているのです
つまりは
ふだん寝かされているということ
往々にして
姫君をベッドに運ぶように乱暴に
わが児を谷に突き落とすように丁寧に
適当に あるいは テキトーに
法則の要請にときに従い ときに抗い
ときに無視し ときにわたし自身が法則となるのです
今まさにここで寝かされた私は
海を越えたあそこで目覚めるのです
時を隔てたあのころに寝かされた私は
今まさにここで目覚めるのです
眠りの時間は問題じゃありません
ただ夢をみていたか
どのような夢を見ていたかが すべてです
私の寝相はそれで決まります
だから どうぞうまく
私を起こしてくださいな
打ち込まれたキーのリズムが子守唄
変換と削除が寝入るまでの呼吸
私の寝返りを見逃さないで
きっと私は眠るでしょう
きっと私は起きるでしょう
だからあなたも感じてください
寝所の暗さ
目覚ましの騒音
香水の香り
寝間着の布の肌触り
私の眠りに足るすべて
私の目覚めに足りうるすべてを
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