架空索道を渡って


眠い目をこすりながら

男が架空索道を渡っていく


眠いのじゃあなくて 

太陽に目が眩むから

が男の口癖


昨日は 索条にぶら下がり懸垂しながら進んでいった

今日は 索条の上を裸足で躙って行った

明日もそしてこれから先も

男はゴンドラを使わない


空を飛べないのなら

この体一つで風を感じたい

が男の口癖


索条に揺られながら

鼻唄まじりで

ときに自ら揺らしながら

確りと進んでいく


おまえ 

谷底に落ちるのが怖くないのかい

なんて 

聞けもせずに黙り込むのが俺の癖


眠い目をこすりながら

男が架空索道を渡っていく

それを瞬きもせず

見つめる男がひとり


朝靄に包まれた向こう岸を

見通すこともできないまま

誰が懸けたのかも知らないこの索条を 

切り落とすこともできないまま 


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