キアンチとシシリア
虚無の砂を噛む
広い心は空ろ
悪意を失くした裸の人形
君の名はキアンチ
石の床に置き捨てられる
宝石箱のなかの葡萄酒
夜天から吊られた人形
君の名はシシリア
可動する限り歩き出せ
尖り帽の向いた方へ
死出の旅の矛先を向け
時の小箱を小脇に抱え
地球儀が回るよりもはやく はやく
乾いた舌で舐る
広場に佇む彫刻
善意に溺れた骨無しの人形
君の名はキアンチ
引き出しに鍵をかけられた
屋根裏部屋のオルゴール
ドアの境に立たされた人形
君の名はシシリア
瞳を描かれる度に目覚めよ
朝が来たら忘れずにカーテンを閉めて
明かりが部屋を満たす前に
青いガラス玉を鈍色に磨いて
蝋燭が溶けるよりもはやく はやく
マヌカンは仮面を残して消えた
マルレーヌは立ち上がるのを止めた
角笛と喇叭は絵画の裡に閉じ込められた
だから二人は旅へ出た
君の名はキアンチ
君の名はシシリア
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