裏の家から顔も知らない老婆の、ワクチン接種予約に難儀する声。
今日も何もなかった。
家の中にいるだけ。
在宅ワークをしているが、
目標もなく、
甲斐もなく、
快もない。
倦んだ気持ちのやり場もない。
こんな人間がこの世にどれだけいるのだろうか。
生の喜び。
死の恐怖とあるいは裏腹。
息苦しくはないけれど、息を潜めて生きている。
雨が降り、風が吹き、空気は湿っている。
裏の家から顔も知らない老婆の、ワクチン接種予約に難儀する声が聞こえた。
世間話なのか、電話なのか、大きな独り言なのか。
それはわからないけれど。
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