中洲の外に取り残される内海、帰らず。
左利き用のハサミを右手に掴んで
誰かに渡そうと考えたまま、幾日か経過した
臍の緒がついたまま泳ぐカエルの赤子が、
みどりの日までの尊厳死を求め、鳴いている
「ぼくが緑になれなかったとしたら」
「きっとそれが寿命なのだ」
杓子定規な泳ぎ方だが、外は晴れ
パジャマを着たまま公園へ、桜を見に行く
ブルーシートの青の下に潜れば、あの空の青の下にいなくて済むのに
暗褐色の花びらが舞い散り、ありふれた白濁を期待していた君は口を開いて俯いた
そのリストバンドではくくれない、首が太すぎるから
彼氏の羽振りが良すぎたのが悪いのさ、信号の点滅も追いつかない
手持ちの筋弛緩剤は底をつき、HBのシャープペンシルの先を
動脈にあてがって何よりの慰めとする
この管のほうがまだ太くて、まだ濃いじゃないか
手首から目をそらしたあとは、視線を落として
お山の総大将の、真っ青なくるぶしを空目して
地面のような床に耳をつける、そうしてようやく
赤い赤い海が、左手の使い途を教えてくれたのだ
コメント
コメントを投稿