きれいな夏のひどい予感
まぶたの裏にチリチリと夏の日差しを感じるのは、きまっていつも寒い日だ。
遠くの想い出が、プールサイドに佇んだまま、光の飛沫を見ている。
セミの鳴き声と、こどもたちの笑い声が聞こえてくる。
気だるさのない、刺すような熱気が皮膚を焼く。
眩しい幻視。
冬のさなか、夏はいつも待ち遠しいものだ。
だけど、そんな夏には一度だって巡り合わない。
感じるのはいつも不快な暑さだけ。
(早く通り過ぎてしまえ)
(いったい、いつ終わるんだ)
(もう二度と、来ないでおくれ、頼むから…)
きっと、夏のただ中では、夏の魅力を感じることができないのだろう。
目の眩むような光は、想い出の中でしか、見つめ続けることができない。
目が焼き尽くされてしまわないように。
待ち遠しいけれど近づかないまま。
動きはあるけど止まったまま。
音はするけど変化のないまま。
くっきりと、光と影が区切られたまま。
(あぁ、いかにも嘘っぽい)
(嘘っぽいのが実は好き)
(そんな自分がホントは嫌い)
きれいな夏は、予感の中にしか生きていない。
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