空と海に届かない花の種

花の種 仏 詩



ぼく、土のなかに埋められています。

手と手を合わせて座っています。

いつか芽を出し、花開くそのときまで。

ぼく、土のなかに埋められています。

はじめは空の上にいました。

鉄の門をくぐって、海をこえて、お湯にさらされて、それから…。

ぼく、土のなかに埋められています。

大豆と小豆の兄妹とはさよならをしました。

粟や稗とはまた会えると約束をしました。

稲とは口を利きませんでした。

ぼく、土のなかに埋められています。

ひとつだけおぼえた歌を、くりかえし口ずさんでいます。

涸れた腕をゆっくり揺らして、小さな鈴を鳴らしています。

ぼく、土のなかに埋められています。

手と手を合わせて座っています。

いつか芽を出し、花開くそのときまで。


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